指示できない人が、現場を整えるということ

– 持ち場が自走するために設計した仕組み


1. はじめに

現場の仕事には、瞬時に判断し、次々と指示を出していく人が必要とされる場面があります。
でも私は、そのタイプではありません。
むしろ、即興であちこちに声をかけるよりも、前もって構造を整えることで現場が動きやすくなるようにする方が得意です。


2. 構造を「前もって」設計するという発想

忙しい時期になると、店舗では社員やアルバイトがそれぞれの持ち場に分かれて作業を進めます。
ただ、持ち場ごとの連携が取りにくくなりがちで、「今、誰が何をすべきか」が曖昧になることもしばしば。

特にその時期は、持ち場ごとに“リーダー役”が配置される二段構えの体制でした。
新しく入った社員もリーダーに含まれるため、彼ら自身が現場の全体構造を把握していないと、的確な指示は出せません。


3. 可視化で「今すべきこと」が一目でわかるように

そこで私は、持ち場リーダー向けに1枚の“設計図”のような資料を作成しました。

  • 横軸は、スタッフの入れ替わりがある「区切りのタイミング」ごと
  • 縦軸は、持ち場別に整理
  • その時間帯に、どの持ち場で何を優先するかが一目でわかる構成

また、よくあるミスやスタッフから毎年聞かれることも、あらかじめリストに盛り込みました。
同じ質問を繰り返されるたびに時間を取られるより、「仕組みで伝えておく」方が、現場も自分も楽になります。


4. 「自走」を支えるということ

この設計書によって、リーダーたちは迷いなく現場を動かしてくれました。
もちろん事前に説明はしましたが、可視化された構造があったことで、各自が確認しながら動けたのだと思います。

自分とは異なるやり方で動く人も多い中で、
こうした整え方が、結果的に現場の助けになった場面もあったようです。

私自身は、その場で細かく指示を出すよりも、事前に場が整うように設計しておく方が、落ち着いて働けると感じていました。


5. おわりに

今は現場の監督からは退きましたが、当時の設計図をもとに、
引き継いだ社員たちは今も繁忙期をしっかりと支えてくれているようです。

自分が前に立たなくても、構造が残れば現場は動く。
それは、「整える」という貢献のかたちなのかもしれません。

仕組みを考えたり、流れを整えたり。自分に合う形を少しずつ探しています。そんな記録集。

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